サル追い払い農作物守る犬、昭恵夫人も視察
畑などに近づく猿を追い払う「モンキードッグ」を知ってもらおうと、三重県名張市と県境を接する奈良県宇陀市の飼い主らでつくる「モンキードッグ倶楽部」(逵敏也代表)による記念講演会とデモンストレーションが20日、名張市鴻之台の市防災センターで行われた。
同倶楽部のメンバーや、市民ら約100人が参加し、訓練などに見入った。また、安倍首相夫人の昭恵さん(51)も視察に訪れ、熱心に講演を聞いていた。
モンキードッグは2005年に長野県大町市で導入されたのが始まり。野生の猿による田畑の農作物被害を防ぐため、猿が人里に降りてきた際に追いかけるなどして山に追い払うのが役目。農家などの飼い犬を対象に、人間の命令に服従し、猿を殺さずに追い払えるように半年間訓練し、自治体から認定を受ける。猿が出現すると、その場所へ駆け付けて犬を放し、追い払う。全国25都道府県の77市町村で導入されており、12年度で計371頭が認定されている。同倶楽部は、11年4月に活動を始め、年間十数回、出動させている。
名張市と宇陀市を行き来する猿は、38頭と42頭の2グループ。宇陀市では、導入前の10年度に800万円だった、猿などによる農作物の被害が、年々減少。12年度に514万円、13年度には326万円となっており、効果が上がっているという。一方、名張市は、10年度が162万円、11年度が約174万円で、12年度には、165万円となった。
この日の記念講演は、東京大大学院で環境学を専攻する山口薫さん(54)が「モンキードッグ活動による野生サル追い払いの成果と課題」と題して話した。
山口さんは、モンキードッグを導入している自治体へのアンケートの結果、82%の自治体が効果的であると回答したことを説明。モンキードッグを導入することで、農作物の被害が抑えられることなどについて解説した。
一方で、犬も飼い主も高齢化していくため、世話が大変になるといった課題があることも示し、「動物にも優しい社会が、人にも優しい社会をつくることになる」と締めくくった。
このあと、場所を同センターの芝生広場に移し、モンキードッグのデモンストレーションを実施。この日は14頭が、「伏せ」や「待て」の基本動作のほか、合図で飼い主の元に戻ってくる訓練などを披露した。
昭恵さんは、山口さんの知人で、山口県内での視察などを終えて、東京に戻る途中に立ち寄った。講演会と訓練を視察した昭恵さんは、取材に、「モンキードッグが活躍して、猿を殺さずに追い払う。人と動物が共存するこうした取り組みを、首相にも報告したい」と話していた。(加藤律郎)
2014年05月21日 18時43分 Copyright © The Yomiuri Shimbun